Be Quiet And Drive (Far Away) /Deftones 音楽レビュー其の28
Deftones(デフトーンズ)は、1988年に結成されたアメリカのヘヴィロックバンドです。
これまでに3枚のプラチナディスク*1、2001年にはグラミー賞を受賞するなど、アメリカ本国では絶大な人気を誇るバンドです。
なのに日本国内では、知名度・人気がイマイチなのであります。
ネット上で調べてみるとは、日本でも一部のファンからカルト的な人気を得ている様なのですが、リアルで「Deftones」のファンだという人に会ったことは無いですね・・・。
確かに聴いてみると、重くて、暗くて、ぼんやりとしていて、取っつきにくさ満載です。
レビューサイトなどで、ディープな音楽ファンからは支持を得ているので、背伸びして聴いて見るんです。ところが、どうもアルバム通して聴けない・・。
「ああ・・日本で人気ないのは、何となくわかる。」
理解できなくて一度閉じる→また聴きたくなって開く→やはり理解できずまた閉じる。
こんなサイクルを幾度となく繰り返していました。
ある時、彼らの音楽の魅力気づいたのです。
彼らの音楽の最大の魅力は、「重低音」と「幽玄さ」が産み出す強烈なトリップ感。
輪郭のぼやけたメロディと低音の波に身を任せると本当に心地よいんですよね。
この感覚はほかのアーティストではなかなか体験できません。
ロックなんだけど「副交感神経」のスイッチが入れられる感じ。
何度閉じても聴きたくなるのはこの「異端すぎる個性」のおかげでした。
聴きこめば聴きこむほどに味わい深く、へヴィロックの「芸術的可能性」を存分に押し広げた最重要バンドと言っても過言ではありません。
そんな彼らの楽曲から「Be Quiet And Drive (Far Away)」をご紹介です。
この曲こそ私を「Deftonesの世界」へ引き込んでくれた記念碑的楽曲です。
彼らの楽曲としては珍しくアッパーで解放感が溢れた楽曲。
「ビート感のしっかりしたアッパーなパート」
「浮遊感と透明感を感じる、混沌としたパート」
この2つのパートを行き来するのみ、非常にシンプルな楽曲構成です。しかし、シンプルながらも、持ち前の独創性を放つ一曲となっています。
「ここではないどこかへ連れて行ってくれないか?」
住み慣れた毎日・代わり映えの無い日々に辟易し、知らない世界へと今すぐ飛び出したい。そんな強い欲求が唄に強く込められていて、聴いていると当てもなく車を走らせ逃避したくなります。(アラフォーおじさんの家出?)
*1:プラチナディスク・・・100万枚を売り上げたCD
(Let's Kiss) While All the Stars Are Falling Down/Hammock 音楽レビュー其の27
アメリカコロラド州のポストロック/アンビエントバンドHammockを紹介します。
聞き慣れない用語・ジャンルだとは思いますが、アンビエントとは「環境音楽」のことであります。
ロックのように、聴くものを高揚させるものというよりは、どちらかというと精神を安定させたりする効果がある、音楽と言えます。
大自然の中に佇んだときの、安らぐ感じを体現できます
ポストロックは一言では語り尽くせない音楽ですが端的にいうと「ロックの概念を覆すような実験的なアプローチ」を取り入れているものが多いです。
インスト曲が多かったり、不規則なビートだったり、予測のできない展開を見せたりする傾向がありますね。
結構耳障りの悪いアプローチをあえて取り入れるアーティストもいたりと、決して間口の広い音楽とは言えないところがあります。
そんなとっつきにくく、難解な音楽ジャンルの中にありながらHAMMOCKというバンドはポストロックよりは、アンビエントやクラシックの要素が強いサウンドを特徴としています。
「美しいサウンドや旋律について、こだわり抜いた楽曲」を数多く発表した、一押しのバンドですね。
特にお気に入りの一曲はこちらです。
究極のヒーリングミュージック、眠気すら催すリラックス状態を生み出してくれます。
「うむ、至福・・・昇天しそうだ」
彼らの作品の中でも歌うパートが多く、ロックのアプローチが残った曲です。
アルバム単位を通して聞いてみると、インストゥメンタルな割合が多く、作業用BGMや瞑想用としてもおすすめですよ。
BLACK FLYS/NICOTINE 音楽レビュー其の26
日本のメロディックパンクバンドNICOTINEを紹介します。
私が高校~大学時代の2000年前後は、国内のパンクロックシーンがバズっていました。
洋楽パンクから大きく影響を受けた、ストリート色の強い「メロディックパンク勢」と、荒々しいパンクサウンドをベースに、青臭い・泥臭い・しょっぱい歌詞を、声高らかに歌い上げる「青春パンク勢」が存在していました。
私はどちらかと言うと「メロディックパンク」を好んで聴いていたのです。
パンクロックの起源は古く、1970年半ばくらいからスタートしています。
メロディックパンクに興味を持ったことから、源流に有る古いパンクも聴いてみる機会があったのですが、すぐに閉じてしまいました。
「うん、これは全く別物ですね。」
初期のパンクは、演奏やメロディは結構でたらめなのですが尖りまくっている。
(あくまで自分のきいたピストルズをもとに語っています。)
反体制的な思想を訴える方法が、たまたま音楽であったみたいな印象です。
リスナーにグッドメロディを届けるなどは二の次。自分のアティチュードを音楽と言うフィルターにとおして、表現しているのです。
一方メロディックパンクは、文字通りメロディがしっかり立っていますし、ポップ・キャッチー、耳触りがかなり良いです。疾走感のある曲も多くて、聴いていて心地よいんです。
気持ちよく聴けるっていう事を、かなり意識されているのかなと思っています。反面、本来のパンク的な思想は薄いバンドも多かったと思います。
これはもうどちらが優れているとか、劣っているとかとかそういう問題じゃなく、好みの問題です。
私には「メロディックパンクがなじむ」それだけの事ですね。
前置きが長くなりましたが、「NICOTINE」と言うバンドは、「HI-STANDARD」と共にパンクシーンを盛り上げたバンドです。海外でも活動し、人気を獲得した実績のあるレジェンド的存在です。
カラッとしていて陽気な雰囲気ながらも激しい「西海岸パンク」の影響を強く感じます。
そんな彼らの楽曲の中から「BLACK FLYS」をご紹介します。
視聴はこちら!!
非常にスピード感があってスリリングな楽曲でありながらも、歌メロのキャッチ―さ、ポップさは数ある、メロディックパンクバンドのなかでも頭一つ抜けている印象が有ります。
もう一つ特徴的なのが、耳に残るツインリードギターのフレーズです。
当時、派手派手なツインリードギターが主張しまくるのも、パンクロックバンドでは珍しかった記憶が有ります。
しかしこの楽曲、2010年に再録されていたことを知りませんでした。音も分厚く当時の勢いそのままに、かっこいい楽曲を聞かせてくれたメンバーに敬礼!!
2010年verはこちらで視聴できます。オリジナルと聴き比べて見ても楽しいですよ。
Dawn/LiSA 音楽レビュー其の25
珍しく最近の曲のレビューをしてみましょう。
今回は「炎」から3ヶ月ぶりにリリースされた「dawn」を紹介して行きます。
「鬼滅の刃でおなじみのLiSAさん」なんて書くとLiSAガチファンは悲しむかな?怒るかな?
でも、鬼滅の刃が彼女の名を世に知らしめたのは事実なわけで・・。
そんな彼女の新曲はYOUTUBEのコメント欄で「いつものLiSAさんがもどってきたー!!」というお祭り状態で、従来の彼女の楽曲を聞き続けてきたファンにも好評な様子。
私も、インディーズの頃から好きだったワンオクの人気が拡大し、アメリカのメインストリームの音楽へと方向性をシフトして行ったことに寂しさを感じた経験から、その心理がなんとなくわかってしまいます。
私がLiSAさんの音楽に初めて触れたのは、「氣志團万博」をスカパーでみていた時のことですが、ロックな音楽性とパワフルな歌声の虜になりました。
アニメソング界隈と関連が深いことは後々知ったのですが、確かにこのポジティブなパワーに満ちた楽曲群は、アニメとの相乗効果が高そうだなと、妙に納得していました。
新曲「dawn」も突き抜けるような爽快感が病みつきになる、ポジティブなロックチューンに仕上がっています。
このサビのメロディ好きだわー!
何回も何回もサビがリフレインされる展開って「邦楽の名曲あるある」だな〜と勝手に思うのですが、いいメロディは何度も何度も聞いていたいから良いんです。
高みを目指し、あえてリスクをとって生きていく人々への「応援歌」とも言える歌詞はLiSAさん本人によるものです。ちな「dawn」とは夜明けを意味します。
彼女の楽曲は全般的にロックの要素が強いので、最近なんとなく勢いが感じられない、「邦ロックシーン」の起爆剤的な存在になってくれるのではないかなと密かに期待しています。
American idiot/Green Day 音楽レビュー其の24
言わずと知れたアメリカのパンクバンド「Green Day」のお気に入りの一曲を紹介します。
Green Dayの「熱心なファン」ではないので、ライトユーザーの目線からみて
この「American Idiot」はかなりお勧めです。(入門曲)
ではどうぞ!!
練り上げられた複雑な展開ではなく、
初期衝動で楽器をかき鳴らす、シンプルかつカッコ良い、パンクソングの理想形だと思います。
限られたコードだけで構築された、音楽のカッコよさを再認識できますね。
「軽快」な曲に対し、詞のテーマは「反戦」で重いです。
イラク戦争の翌年リリースされた楽曲で、
「メディアに踊らされる馬鹿なアメリカ人にはなりたくないぜ」
戦争に加担する人を煽りまくっています。
こうしたアティチュードの共感し、支持するファンもいるのでしょう。
もちろん私も「反戦」を支持します。(キッパリ)
New Wave/ Pleymo~Moddadiction/pleymo 音楽レビュー其の22~23
今回はフランス産ロックバンドpleymo(プレイモ)を紹介します。
フランスと言えばロックの後進国ともいわれ、音楽といえばシャンソンのイメージが強いです。といいつつシャンソンって、どんな音楽かと問われたら固まりますね、絶対。
そんなフランスの音楽シーンですが、この「pleymo」と言うバンドはなかなか勢いが有って、熱い音楽を聴かせてくれたと思います。
もう解散してしまったバンドですが、メンバーがカラフルなジャンプスーツを着て暴れまわる、派手なライブアクトが視覚的にもキャッチ―で、日本でも結構人気のあるバンドでした。
ヴォーカルのマークはルックスも良く、過去にディズニーのプロのアニメーターだった
異色の経歴を持っていて、かなりキャラ立ちしていましたね。
メンバーが日本のアニメ文化にも造詣が深いようで、親日家であった様です。
まさに日本のリスナーから愛され彼らも日本を愛した、「相思相愛」状態。
音楽性はこのブログでおなじみ、ミクスチャーロック(ラップ+ロック)をベースにしています。よく「フランスのLinkin park」と言われておりました。
マークのラップの声質は「Limp bizkit」のフレッドに似ています。何処かヘナヘナとしてややコミカル。英語に比べるとフランス語は良く言えばなめらか。やや歯切れが悪くリズムに乗っかり切れていない印象(笑)
ベースが非常にテクニカルなので、そこも聴きどころでしょう。
因みに今回紹介する2曲はベースがあまり目立っていません。(なぬ!?)
このバンドがリリースしたアルバムは「4枚」どのアルバムも中々良いです。
しいてフェイバリットアルバムをあげるならば、2ndアルバム「medicine cake」と3rdアルバム「Rock」がおすすめです。
この2枚のアルバムからそれぞれ、私の好きな曲をチョイスしていきたいと思います。
1曲目に紹介する「New Wave」は2ndアルバムを象徴する、ハードでいてメロディがしっかりしたキラーチューンです。確かに初期のLinkin parkの香りがします。では聴いてみましょう!
アクションスリラーのような映画仕立てのMVのインパクトが強烈です!!
R&Bのトラックのようなパートが突如、へヴィなバンドサウンドになだれ込む。
この「静と動」の流れが何度が繰り返されるのですが、この展開に中毒性があるんですよね。特にブリッジ*1の壊れっぷりは爽快です。
2曲目に紹介するのは「Moddadiction」です。彼らにしては珍しいしっとりしたロックバラードになっています。
この曲は「哀愁」がモロにでた、サビやギターソロを実装しており、「湿り気のある良質のロックバラード」となっております。
3rdアルバムの「Rock」は、急激に路線変更をした結果、ファンの中でも賛否両論あったアルバムです。
私が初めて触れたPleymoのアルバムであり、もっとも気に入っています。
全体的にラウドでありつつも、ヨーロピアンの爽やかな空気感漂う作風で、優雅な気分に浸れます。(筆者、ヨーロッパ童貞ですけどね・・・はは。)
普遍的なロックアルバムになっており、8ビート主体のロックあり、バラードありと
表情が豊かで、個人的には非常に楽しんだ記憶が有ります。もう15年以上前の話です。
*1:ブリッジ・・・ラストサビ前の間奏
Lightning/ストレイテナー(STRAIGHTENER)〜AIrwalker/ent 音楽レビュー其の20~21
ストレイテナー(STRAIGHTENER)は、98年に結成された日本のオルタナティヴ・ロックバンドです。
バンド名の意味は「真っ直ぐにする人」とのことです。
このバンドは、初期と現在では全く別のバンドの様な音楽をきかせてくれます。
初期はギター主体の「直球の音」を出すバンドでした。(バンド名通り)
まさに「初期衝動」を感じる音だったのですが、パンクとはやや趣が違います。
内省的な歌声や歌詞の世界観からわかる様に、
「部屋でギターを爪弾く楽器好きの物静かなお兄さん」
というかんじで「粗野なバリバリのロッカー」とはまるで違うですよね。
この繊細な感性で紡ぎあげる音楽に、魅せられたリスナーが多いのもうなずけます。
元々はギターとドラムの2名体制のバンドだったんですが、一人また一人とメンバーが集まり4人体制になって落ち着きました。
メンバーが増えるごとに音楽性に深みが出ていきました。
ギターをかき鳴らされるシンプルなスタイルから、ファンクやロックンロール、ピアノロック、エレクトロニカ、アンビエントまで様々な音楽を操るように。
元々に繊細で奥深かったホリエアツシさんの音楽・詞をより活かすバンドへと進化しました。
私は断然4人編成になってからのストレイテナーが好きです。
今回紹介する「Lightning」は4人編成になった直後の楽曲です。電子音が全体を支配する奥ゆかしいサウンドが魅力的な楽曲ですので是非ご視聴してみてください。