マネキン/ハルカトミユキ 音楽レビュー其の37
日本のロック女性2名からなるフォークロックユニット、「ハルカトミユキ」をご紹介します。
パット聴き、さわやかな歌声、キュートなルックスに騙されるのですが、少し聴き進めると「ん??」って引っかかるわけです。毒気MAXの歌詞にやれてしまいます。微笑みながら歩いてくる人にナイフで刺されるような際どさ。これはすごいです。
立教大学の音楽サークルで、出会ったハルカさんとミユキさん。音楽的な共通点が有ってユニットを結成されました。音楽趣向も面白くて、森田童子・銀杏BOYS・ニルヴァーナなど幅広い音楽を好んで聴いていたようです。
「ロック」と「フォークソング」をルーツとした、多彩な楽曲に毒気たっぷりのハルカさん歌詞が乗っかって病みつきになります。
ハルカさんの文章へのこだわりを裏付ける経歴として、立教大学文学部在籍中も「短歌」を作っており、ミニアルバムのタイトルも短歌、自作のミニ詩集をライブ会場で販売するなど数々のエピソードが有るのです。
よって、音楽好きな方だけではなく、文章が好きな方にもオススメです。(もちろん人の心に刺さりこむほどの強い個性をもつ詞なので、万人に受けるものではないのですが・・。)
そんな彼女達の楽曲から、マネキンを紹介します。
凄みとえぐみのある楽曲に仕上がっていますよね。えぐみと言うワードが、音楽を評するにあたって適切な表現かどうかは微妙ですが・・・。
イントロなんて爽やかなビートとコード進行に、不協和音を「グワーー」と乗せてます。my bloody valentineのようなシューゲイザー的手法を、効果的に使っていて個人的に位は「気持ち悪さが気持ち良い」みたいな感覚が有ります。
サビの歌詞にいたっては
引きずり出して飛び散った
赤や緑のハラワタ
美しいだけの顔を塗りつぶす引用:ハルカトミユキ『マネキン』より
ですからね・・。他の人には書けない唯一無二の個性。
そして、ハルカさんの歌声がまたよいんです。どんな濃い詞をも中和する、あっけらかんとした声が良い意味でこのユニットが醸し出す「危うさ」のバランスをとっているのです。
このユニットに関しては、シューゲイザー、ロック色の強い曲のほかに、非常にフォーク色がかなり強い曲もあるんです。こちらも哀愁を感じる良い曲がたくさんそろっているので、この辺りもまた別の記事で紹介できたらと思います。では!